海外へ送った機械を開梱したら、金属部に錆が出ていた、箱の内側が濡れていた。そうした不安をお持ちの設備・輸出担当の方は少なくないと思います。

この記事では、公的に公開されている資料を手がかりに、海上輸送で錆や湿気の被害が起きる仕組みと、防錆・防湿の考え方、梱包の種類との関係を整理します。原典に基づく記述と編集部の見解は区別して記しています。

ご注意:本記事は一般的な基礎解説であり、個別の機械・輸送について防錆・防湿の十分性を保証するものではありません。具体的な仕様は、輸送条件・機械の素材・保管期間に応じて、梱包業者・フォワーダーと決めてください。(情報確認日:2026年10月9日)

海上輸送で錆・カビ・濡れ損が起きる理由

輸送中の温度変化と結露

IMO/ILO/UNECE「貨物輸送ユニットの収納のための行動規範(CTU規範)」の2014年1月時点の仮訳(国土交通省掲載)には、「付属書3 結露による被害の防止」があります。ここでは次のように説明されています。

  • 長い航海では気温や湿度が大きく変わり、貨物やコンテナ内壁に結露が生じることがある。
  • 結露は通常、空気が冷たい表面に触れて露点まで冷やされたときに発生する。
  • 1日の温度変化で天井付近に結露が生じ、水滴が貨物に落ちる「コンテナの汗濡れ」が起こり得る。
  • 寒い地域で積んだ貨物が、湿度の高い暖かい地域で冷えたまま荷降ろしされると、貨物表面に結露する「貨物の汗濡れ」が起こり得る。とくに金属製品や機械では、すぐに腐食が始まるため致命的になる、と記されている。

同じ資料は、湿気の原因は一般に貨物そのものだが、木製の押さえ材やパレット、多孔質の梱包材が持ち込む水分もある程度は原因になる、とも述べています。

資料に示された湿度の目安

同じ付属書には、相対湿度が40%以上になると鉄系金属が腐食するリスクが高まる、という「腐食閾値」の記述があります。また、鉄系金属製品(機械、技術機器を含む)は、適切なコーティング、またはコンテナ内の相対湿度を40%より低く保つ対策で保護するもの、とされています。

同じ資料は、こうした湿度の条件はコンテナ内の温度が変化しない場合に限って有効であり、海上輸送では1日の温度変化によって状況が変わり得ると述べています。この数値は仮訳に示された目安であり、実際の輸送で何をどこまで行えば足りるかを示すものではありません。

編集部の見解:期間・積み替えも条件になる

編集部の見解として、輸送・保管の期間が長く積み替えが多いほど、温度と湿度の変化にさらされる機会は増えると考えられます。日数の目安は示しません。

防錆・防湿の基本用語を整理する

「さび止め」と「防湿」

編集部の見解として、「さび止め」は金属面に錆を発生させないための処置、「防湿」は梱包内に湿気を入れない・溜めないための処置、と分けて考えると整理しやすくなります。両者は組み合わせて検討されることが多いと考えられますが、条件により異なります。

乾燥剤とシートの位置づけ

CTU規範仮訳の付属書3には、乾いたダンネージ(隙間埋め材)や包装材でも一定の水分を含むため、扉を閉めた後のコンテナ内の湿度が高くなり得ることが記されています。そのうえで、ダンネージ・包装材の積極的な乾燥や、袋入りなどの乾燥剤の使用を、密封したプラスチックで覆うことと組み合わせるよう示されています。また、吸湿性のある貨物を含み、コンテナが乾燥した状態にない場合は、乾燥剤を入れても吸着能力が足りず、通常は効果が表れないという趣旨の記述もあります。これらは貨物コンテナ内の収納についての記述で、機械の梱包にそのまま当てはまるかは個別に確認が必要です。

編集部の見解として、乾燥剤を入れれば十分とは限らず、条件次第と考えるのが安全です。使用量や効果の数値は示しません。

公的規格の存在:JIS Z 0303

日本産業規格にJIS Z 0303「さび止め包装方法通則」があります。日本規格協会(JSA)の規格情報ページでは、2009年3月20日改正、2023年10月20日確認とされ、規格概要として「鉄鋼を主とした金属材料及び金属製品を輸送又は保管するときに、さびの発生を防ぐために施す、さび止め包装方法及び試験方法について規定」と紹介されています。

当編集部は規格本文を閲覧していないため、具体的な包装方法や試験方法の内容、各機械への適用可否は本記事では扱いません。契約や取引先の仕様で規格の適用が求められる場合があるかは、個別に確認してください。

梱包の種類と湿気対策の関係

木箱梱包で考えること

編集部の見解として、輸出用木箱は、荷役や輸送中の外力から機械を守る役割が中心で、湿気への備えは木箱だけでは決まらないことがあるため、別に考える視点が必要です。荷重や固縛の考え方は海上コンテナで機械・重量物を輸出するときの積付け・固縛の基本で整理しています。なお、木材は前述のとおり湿気の持ち込み要因の一つに挙げられています。

包んで密閉するという選択肢

機械をシート状の資材などで包んで密閉し、外気の湿気の影響を抑える考え方があります。密閉する場合は、包む前に内部に湿気が残っていないか、前述のようにダンネージや包装材の水分をどうするかも検討が必要です(編集部の見解)。適する方法は、機械の寸法・素材・輸送期間などで変わります。

なお、株式会社信輝の梱包作業には、木枠梱包や真空パックなどがあります。真空パックの防錆・防湿上の位置づけや、どの案件に適用できるかは、本記事では扱いません。ご相談のうえ確認してください。

木箱と密閉を組み合わせるときに確認したいこと

項目なぜ必要か分からない場合の対応
機械の寸法・重量包み方や箱の設計に影響するため概算でも構いません。図面がなければ相談時に伝えてください
素材(鉄、鋳物、めっき、精密部品など)錆びやすさ・湿気への弱さが異なるため不明な部位はそのまま伝えてください
輸送期間・保管の有無湿気にさらされる時間が変わるため想定の幅で構いません
到着後の開梱の頻度・使用開始時期密閉を開ける回数や保管方法に関わるため未定であることを伝えてください

木材梱包材の検疫要件

木箱など木材梱包材には、輸出先の国によって検疫上の要件が定められている場合があります。基礎は輸出用木箱のISPM 15と消毒処理・マークの基礎を参照してください。

梱包業者へ事前に伝えたい輸送・使用条件

  • 輸送条件:仕向国、航路、輸送方法、想定される輸送期間、途中の保管場所の有無(分かる範囲で)
  • 機械の状態:素材、オイルや塗装の有無、到着後すぐ使うか保管するか
  • 過去の被害:錆・カビ・濡れの有無と状況(写真やメモがあれば)

ご依頼前の情報整理には、見積り依頼前に準備したい情報の一覧もご活用ください。

図面や寸法が未確定の段階でも、株式会社信輝ではご相談をお受けしています。分かる範囲で結構です。

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株式会社信輝の作業内容と作業場所

株式会社信輝の仕事内容は、図面に合わせた輸出用木箱の製作、大型設備・精密機器の梱包(木枠梱包、真空パックなど)、お客様の工場・倉庫への出張梱包(採寸・現地作業)、港湾への運搬・海上コンテナ対応のサポートです。作業場所は東京都内・横浜市内を中心とした現場、または自社作業場(川崎・東京・横浜)で、現場により変わります。

よくある質問

Q. 結露はなぜ起きるのですか。

CTU規範仮訳では、結露は通常、空気が冷たい表面に触れて露点まで冷やされた際に発生すると説明されています。1日の温度変化や、寒い地域から湿度の高い地域への移動で起こり得るとされています。

Q. 乾燥剤を入れれば十分ですか。

輸送条件により異なります。資料では、乾燥剤の効果は貨物やコンテナの乾燥状態に左右される趣旨の記述があります(吸湿性のある貨物を含む場合の記述)。要否や方法は、梱包業者・フォワーダーと決めてください。

Q. 図面や詳細条件がなくても相談できますか。

はい。未確定の段階でも、ご相談をお受けしています。

まとめ

  • 海上輸送では、温度変化による結露や、湿度の高い地域への荷降ろしで、金属製品や機械に錆などの被害が出ることがある(CTU規範仮訳)。
  • 対策には、コーティングや湿度管理、乾燥剤と密封の組み合わせなど複数の考え方がある。
  • JIS Z 0303という規格が存在する。適用の要否は個別に確認する。
  • 輸送期間・保管・素材を整理して、梱包業者へ相談する。

機械・精密機器の輸出梱包は、株式会社信輝までお気軽にご相談ください。

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